解説『機能訓練指導員養成テキスト』第1章 柔道整復師と介護保険
こんにちは@hitokutokumeiです。今回から南江堂が出版している機能訓練についての教科書「柔道整復師と機能訓練指導員ー機能訓練指導員養成テキスト」を解説・要約していきます。
タイトルに“柔道整復師”とありますが機能訓練指導員をされている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、看護師のすべての方々におすすめできる一冊です。ぜひ購入して目を通してみてください。
出版経緯
そもそもこのテキストは2016年3月に柔道整復師を養成する専門学校・大学に向けて発売されました。柔道整復師は介護保険のなかで機能訓練指導員として位置付けられているため、その仕事内容とそれに伴う知識を学ぶために発刊されました。
今年になって初めてこのテキストで勉強した学生が卒業しました。それ以前に学校を卒業した柔道整復師の皆さんはこんな教科書があるとは知らなかったと思います。私も最近初めて知り、先日購入したばかりです。
内容としては介護保険の仕組みや高齢者の心身への理解、具体的な機能訓練のプログラムが書かれています。
公式へのリンクを張っておきましたので興味がありましたら一度ご覧ください。
第1章 柔道整復師と介護保険
A 介護保険の目的と理念
ここでは介護保険法の目的について解説しています。介護保険法第1条と第4条1項を引き合い出しています。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
介護保険法第1条
第1条では高齢者の自立した生活を支援することが制度創設の主目的であると書かれています。ここから、ただ高齢者に楽をさせるためではなく、生涯にわたって尊厳を持った個人として生きてもらうことが介護保険法の理念だと解釈できます。
また、介護は旧来ではその高齢者の家族が担うものでしたが、それを「国民の共同連帯」=「社会」が制度を設けて解決していくことも記されています。
国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。
介護保険法第4条1項
第4条1項では国民は自分自身の介護予防への取り組みは義務であると定めています。高齢者になる前から健康に気を使うこと、受けれるサービスは活用することで介護の負担を軽減しましょうという考え方です。
B 介護保険制度における柔道整復師
ケアマネージャーの基礎資格
柔道整復師は介護支援専門員(ケアマネージャー)を取得するための基礎資格です。資格取得後で業務に通算5年以上かつ900日以上従事することで受験資格が得られます。
機能訓練指導員
機能訓練指導員は機能訓練を通して高齢者の介護予防と自立支援を担う職種です。機能訓練指導員は高齢者の身体機能低下を防止または改善することと、生活機能の維持や向上を図らなければなりません。
概説
- 介護保険法第1条は高齢者の自立した生活を支援することが制度創設の主目的だと記している。
- 介護保険法第4条1項は国民の介護予防への取り組みは義務であると定めている。
- 介護保険における柔道整復師の役割は「ケアマネージャーの基礎資格」と「機能訓練指導員」の2つである。