高齢者のリハビリと運動療法に最適な「レッドコード」とは
赤いヤツ
日帰りの介護施設であるデイサービスには様々なタイプが存在します。
とりわけリハビリ型デイサービスと呼ばれる運動やトレーニングがメインのデイサービスには色々なリハビリ器具が導入されています。
見学や体験で初めてリハビリ型デイサービスに訪れた方は、見た目ヨボヨボの高齢者がマシントレーニングを行っているのを見て驚かれます。
もはや毎度のことなので「皆さんびっくりされますけど、どなたでもできるんですよ~」と安心してもらえるよう声をかけたりします。
そんな毎度のやり取りの一つに「この赤いヤツはなんですか?」という質問があります。
応用力の塊
赤いヤツこと「レッドコード」は天井から2本のロープが釣り下がっているだけのシンプルなリハビリ器具です。ロープの下端に手をひっかけることができ、体を支えてくれます。レッドコードを使った運動をスリングセラピーとかレッドコードセラピーと言います。
これが何に使えるのかと聞かれれば、何にでも使えます、と答えています。日頃の機能訓練では集団体操に利用することがほとんどですが、個別のリハビリでも効果を発揮してくれます。
集団体操
メインの使い方です。基本的には椅子に座って両手でレッドコードを握ります。
体操を行う上でレッドコードが優れているポイントは、転倒リスクの低下です。レッドコードを握っているため足以外に手で体を支えることができます。これにより腕を伸ばしたり足を曲げたりしても自然とレッドコードを支えにして普段以上に大きく動くことができます。
私の勤めているデイサービスでは5~9人程が30分間一緒に体操を行います。
有酸素トレーニングとストレッチとしてほとんどの人に適用です。
立位の補助
椅子から立ち上がった状態でもレッドコードは姿勢の維持に効果を発揮します。平行棒の代わりに爪先立ちやスクワットの支えになってくれます。
立位保持を助けるオプションを取り付けることもでき、下肢筋力を鍛えたい利用者に行います。
立位保持が可能な比較的介護度の低い利用者が適用です。
下肢のリラクゼーション
体操の時と同じく椅子に座った状態で行います。手ではなく足をひっかけて宙吊り状態で曲げ伸ばしを行いリラクゼーションを促します。
下肢を持ち上げた状態で水平面状に動かすことができ、股関節、膝、足首の可動域が広がります。
必然的にお尻で姿勢を維持しなければならないため、利用者のバランス感覚が大事になってきます。転倒防止のためにスタッフが近くにいることが望ましいです。
余談ですがレッドコードを使えば下肢に限らず目的部位を宙吊りにできるため、簡易的に徒手筋力検査(MMT)のスケール2「重力を除去すれば、運動域全体にわたって動かせる」を判定できます。
片麻痺のリハビリ
脳卒中などにより片麻痺になってしまうと麻痺側の筋肉が過度な緊張を起こします。日々のリハビリでこの緊張を取り除いていかなければなりません。
麻痺側では体操のときと同じようにレッドコードを握り、非麻痺側では長さを調整するひもを握ります。これにより自分で長さを調節しながら麻痺している手足をリハビリできます。
最後に
私が働いているデイサービスでは主に上記の使用法で機能訓練を行なっています。しかし、レッドコードには様々な使い方があり、調べるほど「こんな使い方があったのか!」と発見があります。
アスリートのトレーニングに使うこともあるようで、高齢者から健康な方まで幅広い世代の健康増進とトレーニングに役立っています。
これからご自身や家族がデイサービスを利用しようと考えているのなら、レッドコードが設置されている施設を探してみるのもいいと思います。